top of page

​臨床直結型研究留学・医工学留学のすすめ

 日本の医師が海外で留学ということになると、多くは"研究留学"になります。これは、以前は、大学医局の力が強く、そこでの業績の積み上げ(箔付けなどとも揶揄されます)が、メインだったからです。また、そのイメージも、試験を振る、顕微鏡をのぞく、小動物と格闘するといった基礎研究によるものが大半であったりします。一方、こういった現状を把握しにくい学生や医師開始初期の医師があこがれるのは、海外先現地の臨床医師と対等に病院で勤務する臨床留学であったりします。が、これは、ハードルがとても高く(例を挙げれば、私の専門科である整形外科は、アメリカでは人気ナンバー3に入る一つで、日本の整形外科医として渡米して、活躍している医師をほとんど知りません(例外的にUCSFに私の母校札幌医科大学出身の長尾正人先生がおります。)、その高さからあきらめたり、海外留学の夢を達成するため、不本意ながら基礎研究に従事する医師の先生も多いと思います。実際は、その研究成果を帰国後に活かせない(多くは大学派遣の関連病院に出向するので、研究を継続できない等)状況でも、です。

 上記の臨床留学の目的は、もちろん日本にない最先端の医療を学ぶことや、同じ経験(知識、手技など)を獲るにしても、日本より効率のいいシステムが構築されていることなどがあるからでしょうが、一般医師として存在するだけの可能性もありえます。

そういった背景がある中で、医師として臨床活動をするようになって、英語論文を読むと、臨床の疑問点を解決するための研究というものが存在し、欧米の有名施設では、臨床上の新しい発見をするために凌ぎを削っていることを知りました。そこから、研究というものを海外留学で行う場合であっても、臨床に直結する研究ができる場合があると考えるようになりました。 それには、医工学研究が特にあてはまるのではないかと思うようになりました。

医工学研究は、生命現象を解決するための生物学的研究と異なり、臨床活動で取得されるまたは同等の条件で取得できる医用画像を用いた画像解析、シミュレーションであったり、臨床状況を想定した強度実験、破壊実験など機械工学的手法が中心となるバイオメカニクスであったり(リハビリテーションもこの範疇に含める事ができると思います)、手術支援する・手術手技を改善できる、またはそのもの自体を大きく変える医療機器開発であったりと、とにかく臨床での状況を常にイメージできる、リンクできる研究となります。

こういった医工学研究留学をドイツ、アメリカで実行してきた経験をお伝えできたらと思います。

bottom of page