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研究内容紹介

  平成25年度から大阪産業大学工学部機械工学科医工学研究室を担当しております。臨床医として培った人工関節、バイオメカニクス、リハビリテーション、画像診断の知識は、機械工学との結びつきは強く、国外では整形外科に機械工学研究室が併設されているところが少なくありません。先進的テクノロジーを駆使し、新しいブレイクスルーができることを期待して、下記のような研究活動を行っています。

ウエアラブル床反力計を使用した運動解析

  これからの日本は超高齢社会(65歳以上と定義される高齢者が20%以上もいる状況)が深刻になると予想され、日本整形外科学会では、運動器疾患(骨、筋肉、神経等)によって要介護となる、またはそのリスクの高い方をロコモ―ティブシンドローム(以下ロコモ)と呼ぶことを提唱し、抜本的な対策をとるよう全国的活動をしております。そういったなかで、ロコモの方が目指すべき運動指標確立のため、健常者のデータおよび健常者をロコモに模したデータを蓄積することをウエアラブルな床反力計(ステップエイド、イマック社)を用いて行っています。

(左がサンダルタイプの床反力計で、右がそのデータを無線で管理するモニタ)

 また、整形外科をこえて脳卒中患者に対する研究も行っております。今最も注目されているロボットリハビリテーション機器であるHAL(Hybrid Assistive Limb, CYBERDYNE)を用いた場合の脳卒中リハビリテーションについてもこの床反力計を用いて評価を行っています。

ハンディ3Dスキャナを使用した運動器疾患診断・治療の試み

 比較的安価な3Dスキャナが広まり、これを医療に用いる例が増加しています。現在どのくらいの精度で3D画像が作成できるのかの精度評価、どんな臨床応用が可能か等の検討を行っています。

 比較的安価な3Dスキャナが広まり、これを医療に用いる例が増加しています。現在どのくらいの精度で3D画像が作成できるのかの精度評価、どんな臨床応用が可能か等の検討を行っています。

 ハンディ3Dスキャナ(マイクロソフト)

 2014年より、義肢装具などの医療・福祉用品やサポート生活用品の国内トップメーカである、川村義肢と共同研究をすることができております。下肢の義足を作成するための工程にこのスキャナの技術が応用できないかの検討を行い、2015年の日本医用画像工学学会で発表、また論文化しました(池田 諒, 花之内 健仁, ゼバスティアン シュミット祥, 管原 貴志: ハンディ3DスキャナKinectを用いた下肢切断端スキャンの精度検証. Medical Imaging Technology. ;Vol. 34 No. 2, 103-105, 2016) 学部学生の在学期間中の査読論文発表等が大学で評価され、研究を担当した学生が、2015年度の学長賞を受賞しました。

​人工膝関節手術の領域でも、この3Dスキャナの応用を行いました。臨床活動の協力病院として勤務させて頂いている島田病院にて、人工関節を専門とされる佐竹先生と共同で、術中の矢状面での評価を行いました。術中と比べて術直後では伸展角度がある程度マイナスにシフトし、術中伸展角度を確保できても、術直後では少し屈曲めからスタートしないといけないことがわかりました。この結果は2016年のCAOS(Computer Assisted Orthopaedic Society) Internationalで発表しました。

人工股関節手術における可動域シミュレーション

 術前計画ソフトウエア(ZedHip(レキシ‐社))を用いて人工股関節置換術後の可動域シミュレーション研究を行っています。

3次元で患者様の骨のモデルを構築し、人工関節を設置するとどうなるか表示することが可能となります。

足を広げたり

前にもっていく等動作の確認ができます。

 これによって、どのくらい曲げると人工関節が衝突するかがわかるようになり、衝突から生じるとされる、術後脱臼の合併症も少なくできる可能性があります。

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